12月21日AM5時




「こんな夜更けに……いえ、もう朝ではないですか……?」

朝方まで本の海に呑まれていたルヴァは眼を擦りながらそうオスカーに尋ねた。
何となく寝付けず数巻に及ぶ古代の研究書を少しだけと寝所に持ち込んだのが原因で、ルヴァはカーテンから漏れる色が漆黒から薄闇に変わるまで起きていた。
ふと空気が震えた気がして本から顔をあげると窓が鳴った。
常春の聖地とはいえ、夜は少し冷える。
夜風に寝間着の首もとを少し上げながら窓のテラスにでると炎のような髪色の男一人を認める。
慣れたその姿にルヴァは軽いため息を吐くとその男を部屋へと招き入れた。

「カプチーノはありませんけど緑茶でも良いですかねー?」

寝静まった館内で自分用のポットを音を立てぬようにしながらお茶の準備をし始めるルヴァに、オスカーは柱に凭れていた背を起こしながら言う。

「別に茶を飲みにきたわけじゃない」
「はぁ……」

手持ち無沙汰になった手を胸の前で組みながらオスカーに何しに来たかと目で問おうとしてルヴァはその判断を後悔する。
欲を抱いたアイスブルーの瞳に見返されたから。
オスカーがルヴァに向かって近づいてくる。
ルヴァは少し考えると困り顔を作り尋ねた。

「欲しいんですか?」

オスカーは何も言わず、ルヴァの後ろにあった寝台に乗ると自ら着ていた黒のシャツを脱ぎ捨てた。

「アッアアアア! も、止めっ!」

オスカーの手が空を切るとその手をルヴァが掴む。

「あなたが欲しいといったのではないですか……」

ただ男根を受け入れる入口となったそこはオスカーの意思に背き、飲み込んだルヴァを締め付ける。
いや、背くのではなく従順なのかもしれない。
頭の部分が少し膨らんだ箇所を外して責め立てるのを由とせず良い部分に当たるように自ら淫らに腰を振る。
ごつごつとして柔らかな襞がそのたびにルヴァを追い詰める。
ルヴァはオスカーのその姿を見て息を飲み込むと膨らみを愛撫し続ける。
とうとう堪えきれなくなったオスカーの嗚咽がかすかに聞こえ、ルヴァはゆっくりと挿し入れしていた腰を少し早めに動かす。
オスカーの吐息が漏れるとその箇所を集中的に突き上げる。

「アアッ…っ」

オスカーの背がしなり繋がった部分が離れるとベッドへと倒れ混んだ。

「ああ、我慢出来なかったんですね」

前を刺激されていないのに達したせいか、ルヴァの言葉すら聞こえていないのか恍惚に浸るオスカーの脚を開かせる。
鍛え上げられた筋肉のついた脚は少し重い。

「よいしょと……」

脚を開くとオスカーの男らしく反りたった剣と抜かれてもなお挿入れられるものを求めてひくつく雄穴がみえる。
半透明な粘液にまみれたそこはルヴァを誘うように蠢いていた。

「私はまだなんです。あと少し頑張ってくださいねぇー」

ルヴァはそういって頭の部分をオスカーの蕾に押し当てるとそこはすぐにルヴァの男根を包み込む。
オスカーの顔を見ると頭の部分を通すときには眉根を寄せていたものの狭いそこを辿り脈打つルヴァの性器が襞を擦り出すとそこに精悍な騎士はおらず、ただ愛欲にまみれた雄だけがいた。

「アッ、アッんっ……」
「私と相性がよっぽどいいんでしょうか?占いではイマイチらしいんですけど」

貪欲に吸い付いてくる襞にルヴァも必死に腰を動かす。
オスカーの肌の赤みが増していく。
オスカーが何度目かの欲望をシーツと己の腹に放つとルヴァもオスカーの胎内へと白濁を吐き出した。

「しかし、そんなに欲求不満だったんですかー? こんな朝方から…別に明日で良かったのでは……あ」

話しているうちに合点のいったルヴァは少し頬を染める。

「みなまで言うなよ」
「ああ、明日は、いえ今日はあなたの……」
「いうな!」
「抱かれているときは従順なのにお祝いも述べさせてくれないなんて酷い男ですねー」

ルヴァの言葉にオスカーは背を向けるとシーツに丸まる。
ルヴァは苦笑するとオスカーの耳元に唇を寄せて囁く。

『最初に会いに来てくれたと自惚れても良いのでしょうか?おめでとうございます、オスカー』

微動せず固まったオスカーに今度は声を立ててルヴァは笑った。


END




オスカー様おめでとうございます!

ふわこ